みてごらんきいてごらん。2
2006年1月〜
最新にもどる

独白する
ユニバーサル
横メルカトル

平山 夢明(著)

2006 .8.22 発売
 小 説

まぁ、好き嫌い分かれるかな。
まず書体がなんか読みづらい文字なんだよ(笑)
これも、物語の世界観を考えてのなんかだとは思うけど。

で、この作家の作品は初めて読んだんだけど、ホラー的な小説が多いらしい。
(ちなみに「いま、殺りにゆきます」とかって作品がある(笑))
で、この小説はなんか、ちょこちょこ賞とったり、
レコメンされてたりしたから読んでみた。

嫌ーな感じはするんだけど、なんか惹きつけられた。おもしろい。

グロな表現が多い感じなんだけど、例えば人肉食べたりね。
でも、それは単なるホラーじゃなくて、なぜかコミカルな感じがしたり。(オレだけかも)
あり得ない設定なんだけど、それがまったくのSFに思えない感じで。
グロの奥に何かがあるんだよ。ま、うまく表現はできないけどさ(笑)

たとえば、これを映像化しちゃたら、ただのB級ホラーになっちゃうんだろうけど
そうじゃないんだよ。ま、うまく表現はできないけどさ(笑)

絶対読んで!ってオススメはしないけど
読んで損はないかな。
でも、正月とかに読むべきではないかな。
なんか、年初から暗ーい気持ちになっちゃうから(笑)

                                             2006. 12. 25

風が強く吹いている

三浦しをん(著)

2006 .9 発売
 小 説

これは読んだほうがいい。買いだ。おもしろい。
けっこうページ数もあるし字も小さめだからボリュームはあるけど
すぐ読める。

次から次って読みたくて止まらなくなるんだけど、残り少なくなってくると
もったいなくて読み終わりたくないんだよ。ホントおもしかった。

今年の上半期の直木賞とった作家だから名前くらいはみんな知ってると思うけど、
三浦しをん。オレはこの人初めて読んだ。やるね。
なんかデカイ賞とったあとの第一作って敬遠しがちなんだけど(オレだけかな?)
これは読んでよかったよ。

ストーリーは、ほとんど陸上素人のメンバーが「箱根駅伝」出場目指して
がんばる話なんだけど、本の帯にもあるように
「超ストレートな青春小説」って感じなんだけど、なんでかおもしろい。
笑えるおもしろさもあるし感動もある。

「箱根駅伝」とくれば、オレがちょっとうるさいのは
知っている人は知っているが(笑)
まったく興味ない人でも充分楽しめるはずだ。

「素人が箱根駅伝出場」って聞くと、ちょっと無理ありそうに思えるけど
読んでみると、まったくそれは感じられない。ありそうな話に思えるから不思議だ。

ま、そもそも小説なんて、現実にありそうもない話しがほとんどだからな。
別にノンフィクションじゃねーんだし。

よく、マラソンとか駅伝のおもしろさがわからないって人いるけど
まだまだだな。人生まだまだだ。知らんけど。

でも、これ読んだら正月は見ちゃうね、箱根駅伝。
オレもいつも以上に楽しみだよ。なんかこの登場人物が走ってそうな気さえするね。

いや、マジおもしれーから読んでよ。

                                             2006. 11. 23

Sensuous
(アルバム)

Cornelius

2006 .10.25 発売
 音 楽

コーネリアスです。
あんまり大きな声じゃあ言えないけど、オレ、コーネリアス大好きっ子です(笑)
確か、これ5枚目のアルバムになると思うんだけど
ここまで変り続けてるアーティストも少ないんじゃないかな。

1stアルバムは、もう、ほんとポップな歌ばかりのアルバムだったんだけど
これは、もうね、いわゆる「歌」はないから。
おもいきって言ってしまえば「音楽」ですらないっつーか。
単に「音」が鳴ってるっつうか。

でも、心地いいんだよ。

もう、邦楽とか洋楽とかロックとかポップスとかそんなんじゃないし。
ま、ずるいって言えばずるいんだけどさ。
だって、これ批判できないよ。もう「好き」か「嫌い」かしかないって、ここまできたら。

ま、オレは好きなんだけど、ってかさ、もう「最先端な音」ってことになっちゃってるし。
でもね、ホント「スネア」の音がいーんだこれが。

サンレコ愛読者としては、見習わないとな。
自分で録音作業してる人たちは、ちくしょーって思うよ。これ。

でもね、仮にその辺のミュージシャンがこれつくったとしても
受け入れてもらえないんじゃないかな。
コーネリアスだから「アリ」って部分も否定できないよな。

ま、でもね、きっと聴く価値あるよ。


                                             2006. 11. 1

鴨川ホルモー

万城目 学(著)

2006 .4 発売
 小 説

おもしかった。

新人作家ってことなんだけど。
やっぱり、誰かがプッシュするものは買ってみるものだね。

ジャケ買い、タイトル買いするオレにとって
この表紙・タイトルはなかなか手に取れないものだったんだけど
いろんなとこで、おもしーおもしーって評価されててさ。

チラッと立ち読みしたときもピンとこなかったんだけど
読み始めたらとまらなかったよ。

「ホルモー」っていう謎の競技?に大学生が巻き込まれていくっつーか
ま、青春恋愛モノっていえばそうなんだけど
なんか全体的にバカっぽくておもしろかった。

結末は、まぁ、もうちょっとどうにかしてほしかったかな(笑)
でも、読んで損はないよ。この作家の次の作品が楽しみだよ。


                                             2006. 9. 14

僕たちの戦争

荻原 浩(著)

2004 .8 発売
 小 説

なんだろうな、よくあるストーリーなんだけどな。タイムスリップもので。

今を生きている若者と戦時中に生きる瓜二つの若者が
ある瞬間に入れ替わってしまう話で。

で、それぞれの時代を戸惑いながら生きていって
お互い、元の時代に帰ろうとがんばって、恋愛もあって、みたいな。
誰でも思いつきそうな、そして今までにもあったようなストーリーで。

なのに、おもしろかった。ま、荻原浩が好きだってのはあるんだけど
なんつったって「明日の記憶」の作者だからね(笑)

結末だって、どうせ元にもどるんだろ、って予想もそのままに・・・
ま、ギリギリのところで終わってしまうわけだけど
そこにズルさはないんだよな。ほんのり感動で終わるみたいな。

うまいな、荻原浩。

来月、9月17日にテレビドラマでやるみたいなんだけど
けっこう楽しみ。
みんなも、もしテレビ見てみようかなーって思ったら
これ先に読んどいたほうがいいよ。きっとおもしろさ倍増だよ。たぶん。
ドラマがクソだったら、また報告するよ「no good」のほうで。


                                             2006. 8. 29

恋愛の解体と
北区の滅亡

前田 司郎(著)

2006 .6 発売
 小 説

キタよこれ、おもしれーよ。
こういう長めのタイトルって一時期、無理っくりカテゴリづけした
「J文学」ってやつに多かったんだけどね(笑)

でも、あれなんだよね、タイトルのセンスあるからって
必ずしもアタリとはならないからね。何回だまされたことか(笑)

で、これ、なんか主人公が自分自身の恋愛感とか分析したりして
その、分析がすっげーくだらねーんだけど、けっこう的を得てたりして
ホントおもしろかった。笑うおもしろさもあったし
もちろん小説としてもおもしろかった。

くだらないこととかをすげー考え込む人には、ま、オレがそうなんだけど(笑)
おもしろさをわかってもらえるんじゃないかな。

この作者は、なんか劇団とか舞台関係の人らしいんだけど
また、この人の本読んでみたいな。

久々のヒット!


                                             2006. 8. 9

SOKKI

秦 建日子(著)

2006 .4 発売
 小 説

「本多くんはさ、そんなに役に立つことが好き?」
「えっ?」
「そんなに、『役に立つこと』、が好き?」
くっきり、はっきり。
そして、悪戯っ子ぽい笑顔を浮かべて、更にこう言った。
「そういうのって『豚に食われろ』って感じかな」


って文章が帯に書かれててさ。なんかおもしろそうじゃない?
で、読んでみた。おもしろかった。
この作家は、ほら今映画上映中だと思うけど「チェケラッチョ」書いた作家なんだけど
そういった、青春群像?(笑)みたいの書かせたら、今一番じゃないかな。
って、ほかに青春群像書いてる人知らないけど。

物語は、大学の速記研究会が舞台で、速記ってほら、なんか
ぐちゃぐちゃぐちゃーって書くやつさ。
そのスーパーマイナー技術「速記」に掛けた青春(これも帯に書いてた)
を描いたもので、そこにはほのぼのとした恋愛があったりなんだりでさ。

んで、主人公が現在の妻にあるモノを説明するために
過去を振り返る形で速記研究会のことが描かれていて
だから、物語の最初と最後に現在の夫婦のシーンがほんの少しだけ
出てくるんだけど、それがよかった。どうよかったかは読んでみれば?(笑)

なんか、難しい内容はひとつもなくて、かるーく読めちゃうんだけど
おもしろかった。

最初に書いた、帯の文章におもしろさを感じた人は、是非読んでみて。


                                             2006. 6. 3

明日の記憶

出演:渡辺 謙、樋口 可南子 他
監督:堤 幸彦

2006 .5.13 ROADSHOW
 映 画

絶対見てほしい。

この映画の原作は去年「れこめん」してんだけど
それを見てもらえばわかるとおり、小説はかなりおもしろかった。
だから、映画を見るのは楽しみでもあったし
よくある「原作と全然ちがうよ、ダメだあれ。」的な落胆も覚悟していた。
(と、いっても事前情報でかなりいい出来っぽかったので安心して見たけど。)

で、さすが世界クラスの俳優、渡辺謙だ。すばらしかった。
今回は映画の製作にもエグゼクティブ・プロデューサーとして
積極的に参加していることもあって、力の入れようは半端じゃない。
そして、樋口可南子。すばらしい。脇を固めるほかの出演者もよかった。

涙なしには見れないだろう。

一応、オフィシャルHPリンクしておくけど
で、そこでは感動の名場面を見たり聞いたりできるんだけど
(かなり、いろいろ見れちゃいます。)
あくまでも、それは断片にすぎないから映画を見るまでは見ないでほしい。

たとえば、主人公が娘の結婚式でスピーチするシーンがあるんだけど
たしかに、そこだけ聴いても感動するかもしれないけど
それまでの流れを見ていれば、その感動はその比じゃない。

取引会社の河村さんが主人公を電話で励ますシーンがあるんだけど
本当に感動した。

とにかく、今見るのは「ダ・ヴィンチコード」じゃないよ。
「明日の記憶」だ。絶対だ。

明日の記憶 公式サイト

                                             2006. 5. 27


愚行録

貫井 徳郎(著)

2006 .3 発売
 小 説

いやーな感じがします。

タイトルのとおり人間の「愚行」を書いた小説なんだけど
それは、誰しもが経験したことのあるような
たとえば、些細なことから芽生える嫉妬心だったり
人の幸せを壊すために
たとえば、人の恋人を奪うための「愚行」だったり。

どれもこれもが、自分も過去に似たようなことを経験しているような・・・

小説は、インタビュー形式のような感じで
最近では(でもないか)宮部みゆきの「理由」のような
恩田陸の「Q&A」のような、そんな感じ。

この形式は、物語の中には入り込みやすいんだけど
結局は、ご想像におまかせします的なのも多いんだよな。

この小説は、そこまでぼかした感じではないけど
ま、やっぱりインタビュー形式だから、事件の断片しかわからないわけで。
その断片をつなぎ合わせて、事件の全容が見えてくるってことで。
(ま、はっきりとは見えてこなかったけど、オレには(笑))

まぁ、なんつーの、人間は愚かだなってことです。

                                             2006. 5. 16


包帯クラブ

天童 荒太(著)

2006 .2 発売
 小 説

何年か前にテレビドラマにもなった「永遠の仔」の作者の書き下ろしです。
れこめんするの忘れてたけど「永遠の仔」は、当時、かなりはまりました。
ドラマも中谷美紀が演じた役は、もう中谷美紀をイメージして書いたんじゃないか?
ってくらいはまり役で。このドラマは今、深夜に再放送してんじゃなかったかな?

ま、それはおいといて「包帯クラブ」だ。
いろんな書評で賛否両論って感じだったんだけど
オレはおもしろく読めたな。「永遠の仔」も、あと代表作の「家族狩り」もかなり
重たい感じの小説だったから、それにくらべて、これはサラっと読める。

少年少女たちの心の傷を描いた物語、っていうと
なんだか、よくありがちな話に思えるけど、そこは天童荒太だ。考えさせられる。

で、オレが思うのはこの小説に限ったことじゃないんだけど
たとえば、この小説は、中・高校生くらいの少年少女が主人公なんだけど
その年齢くらいの人が読むのと、今のオレが読むのとじゃあ
感じ方は、まったく違うだろうなーということなんだよね。

オレ的には、まぁ、第三者的な感覚で読むしかないんだけど
(だって、もう10代の気持ちなんて忘れたよ(笑))
きっと、若い人たちは、自分達の今と照らし合せることによって
まったく違う思いを持つことになるんだろうなーっていうさ。
ことによっては、その後の人生も変わるんじゃないかなっていう。
ほんの少しだったとしても。

まちがっても、オレの人生は「少年少女の心の傷の物語」によって
左右されることはないからね(笑)今さら。

                                             2006. 5. 7


ガール

奥田 英郎(著)

2006 .1 発売
 小 説

奥田英郎はすごく好きな作家なんだけど
今まで、れこめんしてなかった。なんでだろ。

去年か一昨年くらいに「イン・ザ・プール」で直木賞もとってるんだけど
あんまりブレイクしなかったな。ま、いいけど。

奥田英郎はおもろいよ。いろんなタイプの小説があるんだけど
この「ガール」とか「東京物語」とか、どこにでもありそうな
仕事や人生に対する悩みを抱えた主人公の話には、きっと共感できるはず。
なんか、表現がうまいんだよなー
「人生」っていう重ーいテーマをサラっと書いてるっていうか
ライトな感じっつうか。

んで、この小説は、30代未婚女性が読むと
ちょっとチクチク(笑)するところもあるかもしれないけど
逆に勇気付けられるかもよ。特に仕事バリバリがんばってる女性は。

                                             2006. 2. 8

砂漠

伊坂 幸太郎(著)

2005.12 発売
 小 説

いまさら、伊坂幸太郎をれこめんってのもベタかと思うけど
ま、今まで一回もれこめんしてなかったから。

もちろん、「してなかったから」なんて理由じゃなくて
伊坂幸太郎はおもろいよ。
デビューして、そんなに経ってないはずだけど
著書はけっこうあって、やっぱそのへんに「才能」が見えるよね。
デビューして1回なんかの賞とって消えていく作家は多いからね。

で、伊坂作品はどれ読んでも、まずハズレはないよ。
この作品は、大学が舞台の、まぁ青春小説ってやつなんだけど
たぶん人生で唯一のモラトリアムな時間に起きていく事件のなかで
友情(のようなもの)が描かれいて、ありそうだけど現実ないだろそんなことっていう、
ま、やっぱりそこは伊坂ワールド全開でおもしろいし読みやすい。

もう十分有名にはなっているけど、今後残っていく作家だと思うから
読んだことない人は読んだほうがいいよ。

そういえば、要所要所でラモーンズの話が出てくるんだけど
もちろん、あのパンクバンドのラモーンズだけど
ラモーンズ好きのあなたも読んでみれば?(笑)
ラモーンズが好きだったら、この小説もおもしろく読めるか?
っつったら、それは知らないけど(笑)
ストーリーの中で重要なキーワードにはなってるよ、ラモーンズ。

この下でれこめんしてる「終わりまであとどれくらいだろう」
もそうだけど、「音楽」が鳴ってる小説は、いいね。

                                             2006. 1. 15

終わりまであと
どれくらいだろう

桜井鈴茂(著)

2005.05 発売
 小 説

この小説は改行なしで書かれている。
一見読み辛いような気もするが、読み出すと小説の世界へ引きずり込まれる。
ノンストップで読んでしまう。改行なしだから。著者の意図でもあるだろう。

だが、小説の世界へ引きずり込まれるのはなにも「改行なし」という
手法のためだけではない。
やけにリアルな日常が描かれている。
何人かの主人公たちの、なにかに苦悩する毎日が描かれている。
そこに自分を置き換えるのは、きっと簡単だろう。

この著者の前作「アレルヤ」同様、この作品の中にも「音楽」がある。
それは、売れないバンドマンの苦悩だったり、
いろんな曲名の羅列からなにかを想像させたり。
それもロックだ。みんなの好きなロックだ(笑)

今年一発目のれこめんが「終わりまであとどれくらいだろう」か・・
ま、いいか。

                                             2006. 1. 3