みてごらんきいてごらん。12
2016年1月〜

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NIPPONNNO
ONNAWO UTAU
BEST
(アルバム)

NakamuraEmi


2016年1月20日発売
   音 楽


今年の初めくらいだったかな、ラジオ各局でパワープレイになってて(たぶん)
うるせーな、またこれかっつうくらい何度も耳にした「YAMABIKO」って曲が
あったんだけど。
生ギターのズンジャカしたカッティングがイントロの。

曲名までは憶えていなくても、そのイントロを聴けば、「ああ、これね」
ってなる人は多いと思う。そして聴こえてくる突き刺さるような歌声。

歌詞はネガティブ系が多い、かな。
ネガティブっつうか、30代女のリアルを歌ってる、って感じか。
恨み節、と言えなくもない(笑)歌詞が多い。
よく言えば、一人で強く生きている女、って感じの。

ラップ調に歌う曲も多く、だから「言葉」は多い。
歌声は力強く、かっこいい。

最初、ラジオで「YAMABIKO」を聴いた時は、それほど好きになれなかったんだけど、
だから上に書いたように「うるせーな、またこれか」とか思ってたから(笑)
でも、耳には残ったよね。「またこれか」って思うくらいだから。

で、アルバムを聴いてみた。

なかなかいい。いや、とてもいい。
いつの間にか「YAMABIKO」も好きになった(笑)

バックの音は最小限だ。
アコースティックっぽいのもあればバンドサウンドもあるけど
歌声がよく聴こえるアレンジだ。

こういう、なんか刺々しい歌をうたう女性シンガーっていいよね。

なんか誰がだれだかわからないカタカナ名前の
似たようなクラブサウンドだかレゲエだかR&Bだか知らないけど
そういうの歌う歌姫?(笑)はもういらない。
別に誰が歌っても変わらないようなやつ。
すぐカバーアルバムだすし(笑)

それに比べて、NakamuraEmiは個性的だ。

かっこいいから聴いてみてよ。

ところで、今週末、NakamuraEmiのライブ行ってくるわ。
会場がカフェで小さい感じなんだけど、客層的に
オレ大丈夫かな。ちょっと不安(笑)



                                             2016.10.20


民王

池井戸 潤(著)


2013年06月 発行
   小 説


なぜだろう。目頭が熱くなった。
その類の物語ではないはずなんだけど。

どちらかといえば、ドタバタコメディーというか。

ちょっと前にテレビドラマになったから、タイトルくらいは知ってる人も
多いだろう。遠藤憲一と菅田将暉が主演だったやつ。
オレも見てはいないんだけど。

物語は総理大臣の父親と大学生のバカ息子の中身が入れ換わるという、
ま、ありがちな設定なんだけど。

なんだけどさ、その二人の奮闘ぶりに目頭が熱くなるんだ。

お互いにお互いの世界を知らないから、本来あるべき姿にむかって
バカ正直に行動する。
総理大臣は国民が幸せになることを第一に考えるし、就活の面接では
企業は人の幸せのために仕事をするべきだと正論を唱える。

どこか二人の行動は繋がっていて。

って、まぁ、基本コメディだから難しい話ではない。
笑うところも多い。
笑わせて感動もさせるんだから、やるな池井戸潤。

池井戸潤は、今、一番人気のある作家といっても過言ではないだろう。
ドラマ化映画化も多い。「半澤直樹」とか「下町ロケット」とか見た人も多いだろう。

オレの性格上、あんまりブームになると、どうも手を出さなくなってしまうのだけど(笑)
だから、半澤直樹は見てないし、小説もこれを含めて3つくらいしか
読んだことがない。もう、けっこな作品数があるんだけど。

アマゾンレビューなんかを見ても、どれも高評価だ。
この「民王」も、すごくおもしろかった。読みやすいし。

もう、他の作品も読むしかないな。くやしけど(笑)
その昔、赤川次郎がそうだったし、いまだに人気の東野圭吾。
「好きな作家」として挙げるのは、どこかはずかしいけど
おもしろいから読んでしまう。
池井戸潤もそんなレベルでおもしろい。

今さら「池井戸潤おもしろいよ」って言っても
ああ、半澤直樹ね、そんなのみんな知ってるよ、って顔されるのがオチだ。
ちなみに「半澤直樹」ってタイトルの小説はないよ。
あるシリーズの登場人物の名前だからね。
それがドラマタイトルになっただけだから気をつけてね。

じゃあ、好きな作家は誰って答えればいいのよ、
あんまりマイナーじゃなくて、それなりにメジャーなやつ、
ってなったら、おススメは「吉田修一」かな(笑)
映画化は多いけど、そこまで原作読んでる人多くないと思うよ。
いや、映画化されるくらいだから多いんだけど。

池井戸潤、おもしろいです。


                                             2016.10.19


掏摸スリ
(文庫)

中村文則(著)


2013年04月 発行
   小 説

タイトル通り「スリ」が主人公で。
人からものを盗むスリね。って、それ以外のスリしらないけど。

物語はそこまでおもしろいってわけでもないんだけど。
あ、いや、途中ダレることなく読ませるおもしろさはあるよ。

登場人物のほとんどが悪者だから、全体的に暗い感じの話だし
救いもほぼない。
主人公がスリになった背景も、よくある幼年期とか過去になんかあって
トラウマを抱えてる、的なやつで、そこにも目新しさはない。

なんだけど、たびたび出てくるスリをするシーンがなかなかスリリングだ。
思わず「成功してくれ」と願ってしまう(笑)

で、いろいろカクカクシカジカあって、ある人物が肌身離さず持ち歩く
ある書類を盗まなければ自分が殺される、って窮地に追い込まれるんだ。
って、まぁ、これも物語的にはよくあるパターンなんだけど。

盗んだことが本人にバレないように盗めって条件もあって
どう考えても不可能っぽいんだ。

どうすんだろ、ってページが進む。
まぁ、流れからいって、きっとこの盗みを成功させるんだろうけど
どうやんだろ、ってページが進む。

「おー!」ってなった(笑)
そうきたか、って。

これの続編的な小説もあるようだし、この作家の他の小説も読んでみたいな、
と思わせるくらいには、おもしろかったよ。


                                             2016.10.05


オカルト
(文庫)

森達也(著)


2016年06月 発行
   ノンフィクション

森達也のノンフィクションはおもしろい。

基本はドキュメンタリー映画監督なのかな。
先月くらいにゴーストライター事件の佐村河内を追ったドキュメンタリー映画が
札幌でも公開されたよね。もう見れないのかな。見たかったな。

で、この「オカルト」
さまざまなオカルト現象を本当なのか検証する内容だ。
いや「検証」って言葉はちょっと違うかな。

そこには「人間」とか「社会」とか「歴史」とか様々なものが
複雑に絡み合っていて、単純に「ウソかホントか」「白か黒か」で
判断できるものではないからだ。

結局、結論は「わからない」だ。

以前にここでレコメンした森達也の「職業欄はエスパー」って本は
超能力だけを追ったノンフィクションだったんだけど、
一応この本はそれの続編なのかな、超能力以外にも、いわゆる「幽霊」とか
「UFO」とかその辺のオカルトものにも幅広く取材している。
恐山のイタコとか。メンタリストのDaiGoにも。

これはトリックだな、ってはっきりわかるものもあれば
もしかして本当なのか?って体験もあるんだけど
やっぱり結論は「わからない」だ。

まぁ、だから「オカルト」なのだろう。

ひとつエピソードを紹介すると
ある寿司屋があって。
いつも夕方に来ていたジイさんが死んじゃって。
それ以降、毎日のように夕方4時40分過ぎに店の自動ドアが勝手に開くという。
ジイさんの幽霊が来ているのだろうか。
そんな噂を聞きつけてそこに行ってみると・・・。

開いたんだ。その時間に。自動ドアが。

ジイさん幽霊が来たのだろうか。
そしてしばらくすると、もう一回自動ドアが開いて。
ジイさん幽霊が帰ったのだろうか。

でも答えは出ない。
自動ドアのセンサーが猫とか風で動いたゴミとかに反応したのかもしれない。
単なる機械の不具合かもしれない。

結局、決定的な現象を目にしても100%そうである、とは言えないんだ。

まぁ、そうだよな。

それがオカルト現象。

オレ、オカルト好きだから(幽霊怖いけど)おもしろかったわ。


                                             2016.08.05


BORN TO RUN
走るために生まれた

クリストファー・マクドゥーガル(著)
近藤隆文(翻訳)

2010年02月 発行
   ノンフィクション

また「走る」関係の本になってしまうんだけど。

いや、だってさ、走るモチベーション維持するために必要なのよ、
なんか、こう、オレを奮い立たせてくれるなんかが。

この本はマラソンやってる人の中では有名な本で。バイブル的なさ。
まぁ、マラソンっていうか山の中走るトレイルランニングの話が主かな。
前から読もうと思ってたんだけど、なかなか分厚い本でさ。
ちょっと躊躇してたんだ(笑)

おもしろかったわ。

マラソンをやらない人が読んでもおもしろい、とか。
読んだらすぐにでも走りたくなる、なんてレビューを見るけど
オレはそこまで思わない(笑)

だからマラソンやってない人が読んでも、っつうか、
そういう人はたぶん最後まで読めないと思う(笑)走ることに興味ない人は。
小説ではないからね。分厚いし。

内容を簡単に説明すると、タイトル通り、人間は走るために生まれてきたんだよ、って。
ま、それはもちろん誇張で、人間は走ることに恵まれた動物だよ、くらいかな。
足の仕組みとか呼吸方法とかその他いろいろアレで。

もちろん、走る速さでは他の動物に勝てないんだけど
こと持久力に関しては人間以上の動物はいないらしい。
とかなんかそういう話。

どっかの民族の話が中心だ。原住民みたいな感じだと思う。
山の中に住んでいて、ずーと走り続けている民族がいるんだ。どっかに。
どこだったっけな、忘れた。

もちろん、ランニングシューズなんて履いていない。
古タイヤのゴムの切れ端で作ったサンダル的なものを履いている。
だから基本、裸足に近い。それでガンガン走る。

その辺から、ランニングフォームやクッションの効いたランニングシューズの
話が出てきて。
高機能のランニングシューズがが走りをおかしくしてんじゃねーか?って。
その民族の人たちは足痛めないのに、なんで俺達は年がら年中足痛いんだ?って。

結論的には
「値段の高いシューズを履いている人の方が足を故障する確率が高い」
とかいう話になって。

ナイキのランニングシューズはクソだな、って話になって(笑)

で、その走る民族と世界的に有名なウルトラマラソンのランナーたちが
レースするんだけど。
その辺は小説的で、単純に読み物としておもしろかったかな。

で、上にも書いた通り、オレは走るモチベーション維持するために
こういう「走る」関連の本を読むんだけど。
だから、その中にオレを奮い立たせる「名言」を見つけることも必要になる。

いいのがあったよ。

「人は老いるから走れなくなるのではない。走るのをやめるから老いるんだ。」

どうだい、これ。いいでしょ(笑)

それを実証?するデータとしてこんなことも書かれていた。
多くのマラソンランナーを見た時、こんなことが言えるそうだ。

19歳からマラソンを始めたとしてピークを迎えるのは26歳のとき。
そこからタイムは下り坂になる。
そして再び19歳の時と同レベルになるのは何歳だと思う?

けっこうビックリだよ。

64歳だって!

それを聞いたからには、アレだ。
まだまだがんばらなきゃなんないみたい。

ランニングに少しでも興味ある人は読んで損なし!
やっぱり、マラソンとかウルトラマラソンとかやる人は
基本的にバカなんだな、とわかる本(笑)


                                             2016.04.12


ムネオ流マラソン術
仕事人間でも走れる
42.195km

鈴木宗男
鈴木彰
(著)

2008年07月 発行
   エッセイ

いや、読まねーよ、こんな本(笑)

そう思った人も多いことだろう。
何読んでんだよ、おまえ、って。ムネオ流ってなんだよ、って。

この本は半分がムネオのマラソンに関するエッセイで
半分は鈴木彰とかっていうムネオにアドバイスしていた
マラソントレーナーによるマラソンの技術に関するハウツー本、
って感じの構成だ。

ハウツーの部分は基本初心者に向けての内容なので
ちょっと物足りないものがあった。

サブ4ランナーのオレクラスになると。

しかし、ムネオのエッセイ部分、エッセイというか
自伝的な?話はとてもおもしろかったし感動した。

ムネオは若い時から、ずーっと走っていて、
といっても、有名になってからは気軽に外を走ることもできないので
主にスポーツジムのランニングマシンで走っているとのことだが
まぁ、とにかく、マラソンと共に人生を歩んできているらしい。

だから、政治的出来事と関連させたマラソンのエピソードが
たくさん出てくる。

どんなに忙しくてもトレーニングするムネオ。

ムネオバッシングがひどかった時期に家に帰れずホテルを転々と
していたとき、外はもちろん、トレーニングジムにも行けないので
ホテルの非常階段を昇り降りしてトレーニングするムネオ。

逮捕されて拘置所に400日以上入っていた時も
かかさずトレーニングするムネオ。

コンクリートに囲まれた狭い独房でスリッパをはいて
縄跳びをするムネオ。(靴を履くことは許されない)

逮捕前は精神的にまいって、眠れなくなっていたが
逮捕さて拘置所に入った日、久しぶりに安心して眠れた
というエピソードは涙なしには読めない。

あ、オレはムネオは不当逮捕だったと思ってるからさ。
まぁ、詳しくは知らないんだけど(笑)なんか嫌いになれなくない?ムネオ。

釈放されると、今度は胃がんが発覚。
胃の4分の3だかをとってしまうムネオ。

手術2日後から病室内を歩きトレーニングを開始するムネオ。
その3ヶ月後だかに10キロレースを走ってしまうムネオ。

そして、還暦60歳の時(今から8年前の話)
東京マラソンを走ってサブ4を達成するムネオ。
(過去にも達成している)

そう、いつもオレが自慢しているサブ4を60歳でやってのけるムネオ。

みんなはムネオをどう思っているかは知らない。
だけど、僕たち私たちはこのことを覚えておく必要がある。

ムネオの方が足が速い。

ということを。
残念ながら、オレもムネオより遅い。終わってる(笑)

すごい男だ、ムネオ。

こういう本読むと、走りたくなるんだよなー、
っつうか、そのために、走るモチベーション上げるために
こういう本読むんだけどさ。

もう年だから走れない、仕事忙しくて走れない、
とか言ってる腑抜けやろうにおススメ。
なんてったって、独房でもトレーニングできるんだからさ。
それ以上に悪い環境ってあまりないだろ(笑)

マラソン興味なくても、政治の話おもしろいです。

                                             2016.03.09



握る男

原 宏一(著)

2012年10月 発行
   小 説

タイトルは「握る男」ってことなんだけど
何を握るのか?といえばキンタマだ。

キンタマを握る話だ。

いや、冗談じゃなくて。
と、言ってもホモの物語ではない。

なんだよ、ホモの物語って。

一人の寿司職人が成功して成り上がっていく物語だ。
まぁ、そんな単純な話ではないが。

見習いから店長、そして社長になりチェーン展開して
さらには寿司以外の外食産業にも進出していって・・

外食産業の一大帝国を築く、みたいな。

その過程でいろんなやつらのキンタマを握っていく。
と、言ってもホモの枕営業じゃないよ。

人の弱みを握って利用する、ってことだ。

成功するためには手段を選ばない。違法なことだって。
裏では人殺しにまで手を染める。まぁ、証拠はないが。
自殺に追い込む的な。

違法な手段は置いておいて、成功するための秘訣を
見つけることはできるかもしれない。
だから、ガイアの夜明けやカンブリア宮殿なんかのテレビ番組で見る
成功物語が好きな人はおもしろいと思う。

とは言っても、小説だ。
実際的な飲食店経営の教本になるわけではない。
ま、夢物語だ。

なんて言ってるやつは、成功できないのかもしれない。

読みやすくて先が気になってグイグイ読める。
てきとーに買った小説で久しぶりに「当たり」だった。
初めて読む作家だったし。

小難しいの嫌いな人も大丈夫。単純におもしろい。

ぜひ。


                                             2016.01.15