走ることについて
語るとき
僕の語ること
村上春樹(著)
2007年10月 発売 |
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エッセイ
先に言っておくと、オレはハルキストではない。
ハルキストとは村上春樹の熱狂的なファンで
著書全てを読んでいるのはもちろん、その生活スタイルも
村上春樹本人のだったり小説内の世界に強く影響されている人たちのことを
言うらしい。それはマラソンだったり音楽だったり映画だったり海外文学だったり。
オレは村上春樹の書く小説は結構好きだから読むけど
村上春樹の人物像については、よく知らない。
なぜならハルキストではないからだ。
ただ、村上春樹が走っていることは知っている。
その辺の市民ランナーよりは一段高いレベルで。
全盛期でフルマラソンを3時間半くらいで走っていたらしい。
本のタイトル通り「走ることについて」書かれた本だ。
小説ではないよ。エッセイみたいやつだ。
本書の中では一種のメモワールである、と言っている。
ま、ちょっとした自伝のようなものとして位置づけているとのことだ。
村上春樹にとって「走ること」は「人生」そのもの、らしい。
走ることからすべてを学べるし、小説を書くために走っている、
みたいなことも書いてある。(ま、詳しくは読んでね)
村上春樹に比べれば、オレなんか超市民ランナーになるわけだが
しかしこの本に書かれてる「走る」ことに対する考え、レース中の思いなんかは
いちいち納得する言葉ばかりだ。「そうそうそうそう!」って。
以前にブログ(みたいなやつ)の方で何度か紹介したことがあるが
「走る理由はほんの少ししかないが走らない理由はトラックいっぱいにある」
的なやつだ。
この本に書いているわけではないが、オレの好きなランナーの教訓的な言葉に
「いいから靴履いてドアを開けろ」というのがある。
よく走りたくなくなる人に向けた言葉だ(笑)
読んでよかった。おもしろかった。
今年もまたがんばって走ろうかな、と思えた。
自分で勝手に走ってるくせに「今年も走らなきゃねーのかなー」
なんて少しブルーになっていたところだったんだ(笑)
あと、村上春樹がある意味「老い」を受け入れるしかない、
みたいな言葉も印象に残ったな。そうだよな、って。
どうしても、マラソン大会に出たときにタイムが伸びなくなってきたときに
そう考えたそうだ。
はじめは、どうしてかな、といろいろ悩んだそうだが
誰しも老いていくんだ、そう考えたら楽になったそうだ。
いろいろ受け入れることは大事だよな、そう思えた本だ。
あきらめる、とは違った意味での「受け入れる」だ。
マラソンやっている人にはもちろん、走っていない人でも
楽しめる本だと思うよ。
ぜひ。
2014.02.16
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