みてごらんきいてごらん。9
2013年1月〜
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旅のラゴス

筒井康隆(著)

1994年03月 発売
 小 説

筒井康隆はオレにとって特別だ。

オレの読書人生は(ってほど、別にアレだ、普通の趣味としての読書だけど)
筒井康隆で始まった。
忘れもしない、中学生のとき読んだ「蝶」という見開きたった2ページの
短編小説が今に続く。

短編が多っかったから読みやすかったのだろう。
次から次へと筒井康隆の小説を読みあさったものだ。
ドタバタな物語がおもしろかったわけだが、今読み返してみると
それはほとんど大人の笑いで、その当時、本当の意味での
おもしろさはわかっていなっかたんだけど、でも、おもしろかった。

久し振りに筒井康隆の小説を読んだ。
別に新刊とかではない。20年以上前に発表されたものだ。
ジャンルとしてはSFファンタジーらしい。

主人公の男が旅をする。
時代は未来だ。しかし、人類は一度高度な文明を失っている世界だ。
だから馬に乗って旅をしていて、一見古い時代の世界感だが、
だけど未来だ。

ある場所に保管されている高度な文明があった時代に記された書物を読み
自分の知識とし、そして人々にそれを伝えるために旅をする。
それは長い時間のかかる旅だ。まさに一生をかけての旅。

人生はよく旅に例えられる。いや、旅が人生に例えられることの方が多いか。
いずれにしても人生とは旅である。そんなことを改めて考えさせてくれる小説だ。
おもしろかった。

久し振りに筒井康隆を読んだことで、オレ自信の「時間の経過」を感じたことも
少しだけ物語とオーバーラップして感慨深いものがあったのかもしれない。

いつもの筒井康隆テイストとはちょっと違った物語。
だけどやっぱり随所に筒井康隆節は健在で。

表紙やタイトルで読まず嫌い感の強そうな小説だが、きっとおもしろいよ。
ぜひ。

                                             2013. 12. 05

BEATCHILD1978

監督
佐藤 輝

音楽監督
佐久間 正英

出演
ザ・ブルーハーツ
BOOWY
ハウンドドッグ

 
2013年10月26日
全国公開

 映 画

「古き良き時代」
この言葉がこれほど似合う風景もそうそう無いのではないか。

記録映画、ということでいいのかな。
今から26年前、1987年8月22日に九州は熊本県で行われた
オールナイト野外ロックフェスティバルの模様を約2時間にまとめた映画だ。

この映画のキャッチコピーに「史上最低で、最高のロックフェス」とある。
まさにその通りの内容だった。

「最低」なのは天候だ。
それはとんでもない「土砂降り」だ。見た感じ気温もかなり低く寒そうだ。
今なら間違いなくイベント中止になるレベルだろう。

そして、フジロックが始まる遥か10年前ということもあって、そこに集まった
7万人以上のフェス慣れしていない人々はその天候をしのぐ術を持っていない。
「ゴアテックス?なにそれ」状態だ。

せいぜいレジャーシートをかぶるとか段ボールをかぶるとか。
足元はどろんこ状態だ。どろんこっつうか、けっこうな斜面だから
川のように泥水がジャージャー流れているんだ(笑)

死人が出てもおかしくなかっただろう。
実際、何百人もの人が体調をくずし、救急車などで運ばれていったらしい。

「最高」なのはもちろん、音楽だ。
出演アーティストを見てほしい。

ザ・ブルーハーツ
RED WARRIORS
岡村靖幸
白井貴子
ハウンド・ドッグ
The Street Sliders
BOOWY
尾崎豊
渡辺美里
佐野元春

今、30代後半〜50代前半の人は、このどれかに、もしくは多くに
「青春」を感じる人も多いのではないだろうか。
そんな人たちは間違いなく楽しめる映画だ。

当時からこんなのダセーよ、と思っていた人もいるだろうが
そういう人も見てみたらいいんじゃないかな。
そのパワーに圧倒されるはず。

今でこそ「ロック?ダサいっす」「なに熱くなってんすか?」的な
若者も多いのかもしれないが(笑)
「ロックが、音楽が時代を変える」そう本気で思われていた時代が
確かにあったんだな、そう思わずにはいられない。

オレはこの映画を見ている最中、何度か爆笑した。

ライブ映像とともにガンガン音が鳴っていたから、ま、周りには
それほどバレていなかったと思う(笑)
オレが映画館に行った日の客は、まぁ、30人くらいいたかな。
あまりヒットしているとは言えないだろう。
家族連れ的なのが何組かいたように見えたが、なんだろう、
「お父さんの好きだったバンドの映画観に行こう!」的なアレだったのかな。

とにかく、なぜオレは爆笑したのか。

みんなすごくダサくて、そしてすごくかっこよかったからだ。

ファッションやステージングは80年代のそれだ。
ダサい(笑)尾崎豊のリハーサル時の服装なんて
少々丈の短いケミカルウォッシュジーンズになんか変なジャンパーだ。
その辺にいる普通の人よりダサかったのではないだろうか。

しかし、ひとたび野太い声で「シェリーなんとかかんとかで」と歌いだせば、
もう、なんだ、景色が変わる。
本番の土砂降りの中でステージに這いつくばりながら尾崎が歌えば
どうなるかある程度想像はつくよな?(笑)
もう、それは宗教といっていいのかもしれないカタルシス。

ブルーハーツは想像そのまんまのステージで笑ったし
RED WARRIORSはダイアモンドユカイの歌の上手さに笑った。
岡村ちゃんのなんだかよくわからないキレキレダンスに笑ったし
佐野元春の完成度に笑った。

いや、とにかくどのバンドも「ボーカル」がすごい。
今のバンド敵わないところがそれだろう。
歌が上手いのは当たり前。その声量、存在感がハンパない。

やっぱり「歌」なんだよ。

で、特に大爆笑したのが、ハウンド・ドッグの大友康平と
BOOWYのヒムロックだ。

いや、オレさ、ハウンド・ドッグはあまり聴かなかったから
よく知らないんだ。「ff」とかヒット曲は知ってるよ。
でも、どんなライブをやっているのかはよく知らなかったんだ。

もうさ、すげーんだよ(笑)そのパワー。
マイクスタンドぶんぶん回して「うぉうぉうぉうぉ〜」って。
よくモノマネされるじゃない?大友康平。
もう、そのまんまっつうか、それ以上で(笑)

「今日は、おまえらが主役だぜぇ〜〜〜」

って客に向かって叫ぶベタなMCもサマになっててさ(笑)
お客さんもハウンド・ドッグの時が一番盛り上がっていた気がするな。
まぁ、時間帯ってのもあるんだろうけど。
トリの佐野元春なんて土砂降り後の夜明けの時間帯だからね。
そりゃ客も座り込んで寝てるわ(笑)

で、ヒムロック。
もうね、一挙手一投足かっこよすぎなんだ(笑)
もう、一つ一つのポーズがキメキメで。
まぁ、みんなが想像できる範囲のおなじみのヒムロックの動きではあるんだけど。
客にマイク向けるポーズだけでかっこいい(笑)なんか他のやつらと違うんだ。
土砂降りでずぶ濡れなのにかっこいい。

そこにいるのは「スター」だ。

ヒムロックに限らず、ステージには一般人とは違うスターがいた。
その辺の大学生がこきたねー私服で小難しい歌をボソボソ歌ってるような
最近のバンドとはオーラが違う。

「愛がすべてさ」と全力で歌う。

ダサい。すごくダサい(笑)
だけどすごくかっこいい。なんでだろ。

いやー、オレは出演バンドのほとんどをよく聴いていたから
かなりおもしろかったよ。
当時のバンドにあまり詳しくない人でも、有名な曲ばっかりだから
楽しめると思う。

そういえば、「最低」なのが天候以外にもあった。
いろいろなレビューでも見かけるが、音楽とライブ映像は
最高なんだが、映画の編集というか、まとめ方にちょっと問題がある。

ところどころにナレーションが入るのだが、うるせーだけだ。
なにもなくていい。その音楽と映像だけで十分伝わる。

そして、当時のプロデューサーみたいな人が、もちろん今は
クソじじぃになってるそいつのインタビューっつうか
当時の客に対する謝罪みたなシーンがあるんだけど、もう、クソ。
クソとしか言いようがない。

なんか痴呆老人がふざけたこと言ってるようにしか見えない。
「ん?最後に笑いもってきた?」そう思わせる場違いなインタビュー。
絶対にいらなかった。

そして、この映画のテーマ曲?みてーのが最後の方に何回も流れるんだが、
(出演バンドにはなんの関係もない、なんかよくわからないクソユニットの曲)
なんなんだ、アレ。
絶対にいらなかった。

以上を差し引いても、音楽好きのおっさんおばさんは(笑)かなり
楽しめる映画だと思う。若者も楽しめるとは思うけど。いろんな意味で。

札幌はススキノのスガイで今月終りくらいまで上映してるのかな。
ホントかどうかしらないけどDVD化はしないみたいだから
たまには映画館に行ってみよう!


                                             2013. 11. 11

LOST

監督・脚本
JJエイブラムス

出演
マシュー・フォクス 他

2004年9月22日〜
2010年5月24日
(アメリカでの放送)
 海外ドラマ

絶対に見ろ!

オレは今後の人生でこれよりおもしろいドラマに出会うことはないだろう。
いや、はっきりと、「ない」と断言できる。
もちろん、今までだってこれよりおもしろいドラマを見たことはない。

とにかくおもしろすぎる。

いわゆる海外連続ドラマ、だ。
有名なところでは「24」とか「プリズンブレイク」とかその類。
レンタルビデオ屋にこれでもかってくらいならんでるやつだ。

古くは「ツインピークス」が有名かな。
誰でも知ってるところでは「Xファイル」とか。
子供の頃なんとなくテレビで見てた「スタートレック」とかもそうなんだろうな。

そして「LOST」だ。

ちなみにオレは海外連続ドラマに詳しくない。
詳しくないどころか「LOST」しか見たことがない(笑)

いや、なんとなくテレビでやってる「24」とか「Xファイル」は見たことあるよ。
でも、頭のどっかに「どーせ、そんなにおもしろくねーんだろ」って
思い込みがあって、だから結局、真剣に見ないし。

って、ドラマなんか真剣に見なくていいんだろうけど(笑)
なんつーか集中して見てないっつーの?
で、結局、こんなのにハマるやつの気がしれねー、
そう思って終わっていたんだ。(「Xファイル」はけっこう好きだけど)

で、「LOST」だ。

なんでこのタイミングで見始めたのかはよくわからない。

全世界で(たぶん)ものすごい話題になっていたらしいが
オレは「海外ドラマ」なるものに興味がなかったから
よく知らなかったんだ。
日本でもなんかの有料放送や、なんと深夜に地上波でもテレビ放映されて
いたらしいがそんなこともまったく知らなかった。

だけど、それでも少しは知っていたってことは
やっぱり全世界で(たぶん)相当アレだったんだろうな。
オレが知っていた情報としては

「無人島もの」

ただそれだけの情報だ。
オレは「無人島サバイバルもの」が好きだからさ(笑)
だから、ほんのちょっとだけ、なんとなく、いつかは見てみたいな―
くらいは思っていたかもしれない。
でも、まったく見る機会がなかったんだ。

なのに、なぜか今回、レンタル屋に行った時、なんとなく、
本当になんとなく「見てみっかー」と思って。

したら、もう大変だ。おもしろすぎる。次から次へ、だ。
「なんでもっと早く見なかったんだろう」とは思わなくて
「今でよかったー」と思ったよ。レンタルするライバルがいなくて
好きなときに好きなだけ続きを見ることができたからね。

シーズン1から6まであるんだけど、リアルタイム?で見ていた人は
シーズンが終わるごとに次のシーズンまで、数か月とか数年
(5から6までは2年くらいあったらしい)待つとかだったんだろう。
そんなの耐えられないわ(笑)

待つとかって問題以前に、ストーリーが(前シーズンとのつながりが)
まるでわからなくなったと思う。

「LOST」、それはとても複雑な物語だ。

以下ネタばれしますので、これから見てみようかな、と思っている人は
読まないように。絶対になにも知らないままで見た方がいいです。


「LOST」の始まりは確かに「無人島サバイバルもの」といって
間違いないだろう。

「ある島」に飛行機が墜落、生存者は40数名ってところから物語は始まる。

無人島サバイバルもので重要なのは「水」「食料」の確保ってことに
なるのだが、「LOST」も初めのうちはイノシシを狩ったり魚を獲ったり
そこにスポットを当てた話もあったことはあったんだが。

ある時に意外な方法で食料を確保できるようになり、そして
その後は「なにを食べているか」なんてどうでもよくなってしまう。
それは、いわゆる一般的なドラマの中の人たちがで何を食べているか
なんてストーリーに関係ないように「LOST」の中でも食事(狩りなど)の
シーンもほとんどなくなる。

「無人島サバイバルもの」ではないということだ。

「無人島サバイバルもの」といえば、もちろんメインは「脱出」に
なると思われるが、ま、最初のころは「イカダを作ってどったらこったら」的な
話はあるがそれもなくなる。
「え?なに、誰も脱出する気ねーの?」となる。

だから「無人島サバイバルもの」ではないということだ。

話が進むと、何人かは島を脱出することに成功するのだが
ある理由から島に帰ってきてしまう。
その「理由」を簡単に説明するのは難しい。

「LOST」を最初から見ないで、たまたまテレビで「途中から」見てしまったとしよう。

なにがなんだかまったくわからないと思う。

それは地下室のようなところで決まった時間に決まった数字を
パソコンに打ち込むシーンかもしれないし、檻の中でセックスをする
シーンかもしれない。

それくらいならまだいい。

タイムスリップして過去に行っていたとしたら、その状況を理解できるだろうか?
しまいには、まったく違う世界、たとえばパラレルワールドのような世界で
だけど出演者たちは同じ(その人生はもちろん違う)状況を理解できるだろうか?

これは「例え」じゃなくて、実際にそんなドラマなんだ(笑)

オレもタイムスリップしたときはさすがに驚いたよね。
でも、そんなことはどうだっていい。
それは一般的なドラマで誰かが会社をリストラされて職場が変わるといった
「ちょっとした」状況変化に過ぎない。

「LOST」ってどんなドラマ?て聞かれたら、こう答えるしかないだろう。

ヒューマンドラマです、と。

舞台は島だって過去だってパラレルワールドだって、どこだっていい。
その登場人物たちがつくりだす物語がおもしろい。
メインとなる登場人物は20人近くいたと思うが、その誰もが
いい味を出していて、好きなキャラもいれば嫌いなキャラもいる。
最初は嫌いだったが物語を通して好きになったキャラもいる。

とにかく長い長い物語だから、なんつーか一緒に冒険している
そんな気持ちになるんだ。

たくさんの登場人物がいてたくさんの謎がある。
ストーリーはどんどん、とっ散らかっていく(笑)

「これ、一体どうやって終わるわけ?」

誰もがそう思った(心配した)ことだろう。
しかし、物語はある1点へと収束していく。

見事なエンディングだった。感動した。
最高の物語だった。

絶対見てくれ!

つっても、オレだってみんながおもしれーおもしれー言ってた
「あまちゃん」とか「半沢なんちゃら」とかまったく見てねーし
ま、おめーらも、まず見ねーだろうな「LOST」。

繰り返すが、絶対に見た方がいいぞ!

これのおもしろさがわからないやつは、まぁ、アレだ。
自分の感性を残念に思った方がいいだろうな(笑)


                                             2013. 10. 25

リプレイ

ケン・グリムウッド(著)
杉山高之(訳)

1990年07月 発売
 小 説

タイムマシンもの。
タイムマシンじゃねーか、タイムトラベルもの、かな。
精神だけが過去の自分の体にもどるタイプのやつ。

ストーリーはこうだ。
43歳の主人公が死ぬ。目覚めると、って死んだのに目覚めるってのも
アレだが、ま、とにかく目覚める。

するってーと、18歳の自分だ。
そこから、記憶の中と同じように人生を繰り返すことになる。

っていっても、もちろん、過去と同じように過ごすわけではない。
誰もが思いつくであろう競馬で大儲け、とか。
フラれた彼女とうまくいくように、過去の失敗を繰り返さない、とか。
ってエピソードはあったかな。あったようななかったような。
とにかく、なんか失敗を繰り返さないようにうまくやっていくんだ。

で、会社起こして、株で大儲け。
どんな会社が大きくなっていくかわかってるからね。
海外作品だけど、ソニーとかトヨタとかも出てくるよ。

で、そういう話はタイムトラベルものでよくある話だと思うんだ。
過去にもどって成功、ってやつは。
この小説のおもしろいところは「繰り返す」ところなんだ。

18歳にもどって人生うまくいくんだけど、最初の人生で「死んだ」
年齢になると、だから43歳になると同じ日に死んでしまうんだ。
で、目覚めると、って死んだのに目覚めるってのもアレだけど、
って、オレも今リプレイしてみたわけなんだが(笑)
とにかく、43歳で死んで18歳に戻る、という人生を
何度も繰り返すんだ。

そんな人生どうだろう?
もう成功しても意味ない、と思うようにならないか?
で、この主人公もドラッグだなんだでダメな人生を送る「回」もあるわけだ。

で、また戻る。

苦しくない?(笑)

で、最後どうなるかっていう。
けっこうおもしろそうでしょ?
おもしろいんだけどさ、残念なのは「訳」がクソでさ。

いや、オレ、あんまり海外もの読まないから、その「訳」のレベルはよくわからないけど
とにかく読みづらいんだ。なんかほら、直訳っつーか。
「これはペンですか?」「いいえ、ギターです」みたいな。
全然例えになってないけど。

だからさ、たとえばこういうやつ。

もっとも重要なことの一つだと気づくことができる、と感じることが
可能であれば、ジェフは誰もがそうであるように、とびきりの笑顔で
バーカウンターに座り、「おやじ、ウコンドリンク1杯!」

みたいな。

ま、最後の方はなに言ってるかわらないが(笑)とにかくまわりくどい表現だらけ
なんだ。そのせいでなっかなか物語に入り込めないんだよ。
登場人物もパメラだかパモラだかわけわかんねーやつらばかりだし。
だから、オレは海外翻訳ものは苦手なんだ。

でも、おもしろいよ。

っつっても、信じないよね(笑)

                                             2013. 06. 22

砂の王国(上・下)
荻原 浩(著)

2010年11月 発売
仮想儀礼(上・下)
篠田節子(著)

2008年12月 発売
 小 説

絶対おもしろいやつ。


この2作品は、なにか関連性のある作品ってわけではないんだけど。

じゃなんで一緒にレコメンしてんの?ってことになれば
とある理由で立て続けにこの2作品を読んだからだ。
いや、たいした理由じゃないけど。

物語が似ているんだ。酷似している、といっていもいい。
どちらも直木賞作家による作品だ。まぁ、直木賞の是非はおいといて(笑)
でも力のある作家による作品であることに間違いない。

こういう物語だ。

新興宗教にまつわる物語だ。
主人公のアラフォー男がリストラだったり詐欺まがいの事件に
より人生を狂わされる。無職になって収入がなくなり行きついたところは
「金儲けのため」に宗教をおこす、という物語だ。

もちろん、細かい設定は違う。一方は主人公自らが教祖となり、
そしてもう一方は教祖を仕立て上げ、言ってみればプロデューサーとして
宗教団体を作り上げていく。

どちらの小説も上下巻に分かれていて、かなりボリューミーな
ものになっているが、途中飽きることなく読み切ることができる
おもしろさだ。

オレが最初に読んだのは荻原浩の「砂の王国」だ。
とてもおもしろく読んだのだが、それに関するレビューなどをチェックしていると
何人もの人が「仮想儀礼」を挙げている。
そして、どうやら軍配は「仮想儀礼」にあがるようだ。

ってなわけで、「砂の王国」を読み終えたあと、すぐに「仮想儀礼」を
読んだわけだが、まぁ、なんつーか、完全に「仮想儀礼」の勝ちです(笑)

いやね、荻原浩は好きな作家だからさ、あの「明日の記憶」書いた
作家だからね。ま、でもそれ以後パっとした作品がなくてさ(笑)
ひさびさのヒットではあったんだよ。
でもね、「仮想儀礼」がすごいんだわ。

だいたい想像つくと思うんだけど、どちらの話も
あるところまでは成功するんだ。教団がどんどん大きくなっていく。
んで、大きくなると、やっぱりさ、いろいろ問題がでてくるんだ。
内部分裂的なやつとか。

で、そこからの展開が「砂の王国」はわりと予想できる展開で。
「仮想儀礼」はさ、もう、とんでもないことになっていくんだ(笑)
うわぁ〜やめてくれー、って展開(笑)

ところでさ、荻原の方が篠田の2年くらい後に作品を発表してんだけどさ。
「仮想儀礼」の存在知らなかったってことないと思うんだけど。
それにしては、後出しでこのレベルで(いや、おもしろいんだけど)
いいと思ったのかね(笑)

ま、どっちもおもしろいんで是非。
ライトに楽しみたい方は「砂の王国」で。
ドロっと嫌な気持ちになりたい方は「仮想儀礼」で。

                                             2013. 06. 08

SWAMP RIDING
(アルバム)

PLAGUES

2013年3月6日 発売
 音 楽

超いい。

そう、プレイグスだ、プレイグス。
オレの一番好きなバンド。

どっかで何回か書いたけど、しばらく活動休止していたのだが
(もう、復活はない感じで)2年ほど前に突然の復活。

そこら辺のバンドが金儲けのために(ホントのところはわからないが)
てきとーに復活ライブして、いつのまにか自然消滅って
パターンじゃないからうれしい。完全復活だ。

本人たちも言っている。
バンドとして今が一番いい、と。

2010年に全曲録り直しのベストアルバム発売。
これは当時の演奏をあえて忠実に再現したもので、
といっても、もちろん音質などのクオリティーは比べ物にならないが
とにかく、代表曲のオンパレードでうれしい復活劇だった。

そして、去年オリジナルアルバムの発売、そしてライブツアー。
札幌にも来てくれたのでもちろん見に行った。
まさかまたプレイグスのライブを見れるなんて思ってもいなかったよ。

そして、このアルバム。
これも全曲録り直しのベストアルバム第2弾って感じなんだけど
こっちは、「おおー、この曲!」って感じのシブい選曲もあったりで
そしてアレンジもけっこう変えてて。

もう最高(笑)

なんだろう、この感覚。
こんな楽しいことってあるんだな(笑)

プレイグス、そして深沼元昭というミュージシャンが
音楽を続けていてくれるおかげで、オレも音楽をロックを
好きでいられて、そして辛うじて細々とバンドを続けていられるんだろうなー(笑)

いやー、最高だね、まったく。

プレイグスを好きになった、昔のオレ、よくやった(笑)


                                             2013. 03. 06

真相

横山秀夫(著)

2006年10月 発売
 小 説

絶対おもしろいやつ。

オレがレコメンするやつの中には、人によってはそれほどアレかもしれないな、
ってやつもなくはないんだが、まぁオレがおもしれーんだからいいだろ、的な。

でも、これは誰が読んでも絶対おもしろいやつの部類。
横山秀夫は「警察モノ」で有名だが、これはそうじゃない5話からなる短編集で。

どれもおもしろい。ちょっと救いのない暗い話が多いがおもしろい。

なんつっても、読むの2回目だったけどおもしろかったからね(笑)
最近忙しくって本買うヒマもないっつーか、いや、本買うくらい
ネットでポチればすぐなんだけど、どんなのがおもしろいかとか全然情報なくって。
本屋にも行ってないし。

で、家にあった本を読み返す日々が続いていたんだけど。
で、これ読んで。けっこう昔に読んだ記憶があるんだけど
おもしろかった記憶があって。

おもしろかった記憶はあるんだけど、読んでみたら
ほとんど内容憶えてなくて(笑)だからとてもおもしろかった。得した気分だ。
いや、びっくりするくらい内容憶えてなかったわ。
記憶喪失系の病気じゃねーのかってくらいに(笑)

これ、ミステリーだからさ、結末しってたらおもしろさ半減するわけさ。
だけどまったく問題なかったわ。
結末どうなるのかドキドキしたくらいだ(笑)

サラサラっと読めて、まず間違いなくおもしろいから
移動中なんかに読んでみたらどうかな。

                                             2013. 02. 08