みてごらんきいてごらん。8
2012年1月〜
最新にもどる
疾走

重松清(著)

2003年8月 発売
 小 説

読むには少々覚悟が必要かもしれない。
間違っても気分が落ち込んでいる状態では読まないでいただきたい(笑)
表紙、怖いだろ?読んだらもっと怖いぞ(笑)

陳腐な表現にはなるが、一言でいえば「絶望の物語」となるだろうか。
かなり「重い」物語だ。読むとイヤーな気分になること間違いなし!(笑)
主人公は中学生だ。(正確には幼年期〜中学生まで、かな)
これでもかってくらいに不幸が訪れる。

「いじめ」「家族の犯罪」「親の借金」「殺人」「暴力」「SEX」・・・

言葉にすると、どうしても「ありがち」な不幸に思えてしまうが
その物語は壮絶だ。

いろいろなレビューを見てみると、最後に救いがあった、と思える人も
いるようだが、オレは救いは無かったように感じた。
文庫本で上下巻あり、なかなかボリュームはあるが一気に読めると思う。
特に下巻に入ってからは、その結末が気になって次に進むのを
止められないだろう。

しかし、この物語で作者の重松清は何を伝えたかったのか。
重松清はどちらかといえばハートウォーミングな感動物が
多いように思えるが、この作品はまったくの別物だ。
とにかくクラクラするほど、どん底に堕ちる。

でも、ま、間違いなく、おもしろい小説だ。
オレはブックオフで上下巻とも105円で買ったのだが(笑)
210円でこんなにすごいものを読んでしまっていいのだろうか?
そう思った。

ま、図書館で借りればタダだけどさ(笑)


                                             2012. 10. 11

チーム

堂場瞬一(著)

2010年12月 発売
 小 説

箱根駅伝もの。

箱根駅伝ものとしては以前にレコメンした三浦しをんの
「風が強く吹いている」と共に双壁をなす名作ではないだろうか。

まぁ、この2冊しか読んだことないけど。

箱根駅伝に興味を持ち始めると、まず誰もが気になる存在が
「学連選抜」なのではないだろうか?なんだこいつら?って。
出る意味あるの?って。

箱根駅伝は前年度の上位10校 + 予選会で選ばれた9校、
それに学連選抜を加えた合計20校で争われるレースなんだけど、
ま、そのくらいは知ってるよね?

で、学連選抜とはどういうチームなのか?

本大会に出場できなかった大学で、予選会のタイムがよかった選手を
選抜して(各大学最大2名まで)つくられるチームだ。

自分の大学が出場できなかったとはいえ、各大学のエース級が
揃うチームだ。
選手のベストタイムだけみると、決して弱いチームではないんだ。
タイムだけ見たら実力は上位に位置することもある。

しかし勝てない。
2008年の総合4位が最高らしい(それはそれですげーけど)
いつもは最下位あたりをうろうろしていることが多い。

なぜだろう。いつもそう思う。
やっぱり同じ釜の飯を食ってがんばってきたチームには
かてないのか?結束力が足りない?
チームメイトのためにがんばれる「根性」みたいなものが足りない?
科学的にトレーニングしている現代のスポーツで
最後はそんな精神論が勝敗を左右するか?

その辺をフィクションの世界とはいえ、この小説は教えてくれる。

おもしれーよ。感動もする。
レース中の選手の気持ちの表現がうまい。
自分が走っているようで息苦しくなってくる(笑)

箱根駅伝興味ない人はちょっとどうだろう。おもしろさがわからないかもね。
オレはもう、来年の箱根駅伝の学連選抜見るのが楽しみで楽しみで(笑)

ちなみにオリンピック出れるか話題になってた公務員ランナーの
川内も学連選抜で箱根を走ってます。


                                             2012. 05. 10

ユーラシアの双子

大崎善生(著)

2010年11月 発売
 小 説

大崎善生ファンでなければこのタイトル、表紙、そして上下巻というボリュームに
手を出す人は少ないだろう(笑)

ストーリーは19歳の娘を自殺で亡くした主人公がユーラシア大陸横断の旅に出て。
んで、旅先で自殺を決意した同じく19歳の日本人女性の存在をたまたま知って。
その女性は主人公と同じルート同じ移動手段で旅をしてて、主人公の5日先を
旅してる感じ。行く先々のホテルや飲食店でその痕跡を見つけるわけ。
ブログも書いてるからけっこうピンポイントで行き先を想定できて。

で、なんとしても自殺をとめようとして追いかける、そんなようなお話。

まぁまぁおもしろそうでしょ?(笑)
いや、とてもおもしろかったんだけど、そのメインの話とは別に、
主人公がとにかく鉄道の中でもホテルでもレストランでも
酒を飲みまくるわけ。ビールだワインだって。

もうね、読んでると酒飲みたくなるのさ(笑)

で、ドイツだかどっかのレーベンブロイってビールあるでしょ?
日本でも売ってるから知ってる人も多いと思うけど。
なんか青いライオンのロゴマーク付いてるやつ。

主人公が旅先で知り合ったドイツに住んでる日本人と
そのレーベンブロイ飲みながら「ところでレーベンブロイってどんな意味なの?」
って聞いて「ライオンビールです」つって
主人公が「そんなことも知らないで飲んでたのかー」って爆笑するシーンが
あるんだけど、オレも爆笑したわ。
ライオンビールって。そのままやんって(笑)

たぶん誰も読まねーと思うけど、おもしーよ。


                                             2012. 04. 20