みてごらんきいてごらん。4
2008年1月〜
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リピート

乾 くるみ(著)

2004年10月発売
  小 説

この表紙(文庫版です)といい、作者の名前といいタイトルといい
こういう小説を「おもしろい」と言うとダサいことになっている。

その基準を説明するのは難しいが、とにかくあるんだ、
「これはダサい小説です」というものが。
それは内容だけで判断されるのではなくて、上にも書いたとおり
表紙とか出版社とか受賞した賞とか、いろんなことから判断される。

この「乾くるみ」というペンネームだってヤバいだろ?
だってこいつ男なんだぜ?やめてくれって「くるみ」とかよ。

そんなんだから、この本はよく本屋で見かけてはいたものの
(けっこうプッシュされてたりするのな)ダセーから読まない、って
ことで読むことはなかったんだ。

しかし、今回本好きの知人が「ま、あれだけど、けっこうおもしーから読んでみ」
ってことで借りたので読んでみた。

すげーおもしれかった(笑)

もう、最初からグイグイ読める。中だるみは、まぁ、ちょろっとあったものの(笑)
おもしろかった。

内容はありがちっていえばありがちなタイムトラベラーものだ。
ちょっと違うのは、タイムマシンにのって肉体ごとタイムとラベルするのではなくて
「記憶」のみもって、しかも10ヶ月前にしかもどれないというものだ。

今の記憶(思考)のまま10ヶ月前の自分の体に入るって感じか。
で、そこからは一度経験した生活を送るというものだ。

ま、未来は知っているということだ。
だから競馬で大儲けしたりすることはできるんだ。
でも、事はそう簡単にはいかない。なんやかんや未来が変わっていったり。
ま、その辺の詳しいことは読めや。

やっぱり、あれだな、誰かに勧めてもらったら素直に読んでみるべきだな。
オレ単独なら、絶対読まなかったもんな。
しかし、過去に「ハリーポッター」を進められ、あまりのつまらなさに
とても苦労した事もあるからな(笑)
借りたからには読まなきゃってプレッシャーで。
で、またその人があんまり本読むような人じゃなかったからなおさらね。

すげー本読んでる人にだったら「これ、オレにはおもしろくねーわ」って
途中で読むのやめれんだけどさ。

で、この小説の終わりなんだけど、まぁ、終わりでダメになる小説は多いんだけど
これもギリといえばギリだったな(笑)

「え、えー?最後これかよっ」って思ったけど、ま、こう終るしかねーかな
とも思ったり。

ま、でも、あんま頭使わないで読める
すんげーおもしろい方の部類だとは思います。


                                             2008.10.03

NEVAEVA
(CDアルバム)

柚木 隆一郎

2008年6月18日発売
  音 楽

どの程度の知名度なんだろうな、 柚木隆一郎って。
アイゴンこと會田茂一と二人でエルマロってバンドっつーかユニット
やってる人です。

っつーか、アイゴンがエルマロから脱退することになったから
もう、エルマロはなくなるかもしんないけど。かなり残念です。

とにかく、その人が初のソロアルバム発表っつーことで。

いや、すげーよ、この人。なんだろ、なんか普通じゃねーんだよ(笑)
小山田圭吾と曽我部恵一が1曲ずつ参加しているんだけど
その二人の音楽を知っている人は、それを聴けばニヤリとするだろう。

アイゴンも同じ日に生涯初のソロアルバムを発表したんだけど
もちろんそれも聴いたんだけど、なんつーか、ほんとこの二人の
中間がエルマロだったんだなーって感じで。

エルマロなくなるとしたら、それはとても残念だけど
今後、柚木がソロで活動していくとすれば、それはそれで楽しみだ。


                                             2008.06.25

人間そっくり

安倍 公房(著)

1976年4月 発売
 小 説

最近、けっこう過去に読んだ作品読み返してんだよね。
いや、驚くほど内容を憶えてない(笑)

これも、相当前に買って読んだやつなんだけど・・

この小説は、「火星人」と名乗る狂人?と主人公のやりとりが
中心になる、というか、それだけの話なんだけどね。

「人間そっくりだからといって、どうして火星人じゃないと言える?」
ということを、逆に言えば「どうして自分が地球人だと言える?」
という、公理としての基本的な「仮定」を証明しようとする(できない)
主人公と狂人のやりとりがマジおもしー。

安倍公房は昔の作家だし、なんか「文学」ってイメージで
なかなか手に取れない人もいるんじゃないかと思うけど、
全然違ってて、まずこの小説読んでみたらいいよ。

思いきって言ってしまえば、くだらなくておもしれーよ。

持ってる安倍公房作品は、これから全部読み直すつもりです。


                                             2008.06.05

半島を出よ
(上下巻)

村上 龍(著)

2005.3.25 発売
 小 説

すげーな、村上龍は。
おもしれーよ、すげー長いけど(笑)

いや、ページ的にはこれくらいのボリュームの小説はめずらしくないけど
なんつーか、密度が濃いっつーか。文字いっぺー詰まってっから。

村上龍の『愛と幻想のファシズム』とか『五分後の世界』好きな人は
絶対おもしれーから読むべきです。

普段あまり本読まない人は、あまりのボリューム(いろんな意味で)に
最後まで読めないでしょう(笑)

いや、しっかし、もっと早く読んどきゃよかったな。
発売してすぐ、知人から借りていたのだが(だから何年間も返していません。スマン)
なぜか、読んでなかったんだよね。

おもしろいのに、読んでも読んでも終わらなくて、しばらく幸せな感じでした(笑)

あ、内容は、けっこう発売当宣伝してたから知ってる人も多いと思うけど
北朝鮮軍が福岡ドームを武力占拠するところから始まって、
腑抜けな日本人たちとあーだこーだする話です。


                                             2008.04.14

職業欄は
エスパー

森 達也(著)

2002 .9 発売
 ノンフィクション

スプーン曲げの清田益章、UFOの秋山真人、ダウジングの堤裕司を
ご存知だろうか?

その超能力が本物かどうか?というところにスポットをあてたわけではなく
いや、もちろん、それも重要なファクターだが、それよりも
職業としてエスパーを選んだ彼らが、どのような日常を送っているのか
ノンフィクションのテレビ番組を作ったときの記録。

著者は、できるだけニュートラルな立場で番組をつくろうとするが
基本的には一般人と同じような感覚をもっている。
だから、超能力を信じているわけではないが、はっきりと否定もできない
そんな感覚だ。

しかし、実際に目の前で何度もスプーン曲げなど超常現象を
目の当たりにする。
はっきりと自分の目で見ているのになぜか心の底から信じられない。
いつも、「信じるかのか信じないのか」という点で悩むことになる。

しかし、最後には「信じるのか信じないのか」というのは愚問でしかなく
目の前にあるもの、だからその超常現象やエスパー達の人生そのものを
そこに「あるもの」として受け入れるべきなんだ、という結論に達する。

おもしろかった。

オレは、まぁ、普通の人より、こういった超能力やUFOを信じる方だが、
いや、信じるというところまでいかないかもしれないが、強い興味を持っていると
言ったほうがいいだろうか。

とはいえ、スプーン曲げは信じたことはなかった。
が、これを読み終える頃には「うん、まぁ、ホントなのかもね」と思ってしまった。

いや、あるよ超能力。


                                             2008.04.02

アフターダーク

村上 春樹(著)

2006 .9 発売
 小 説

最近、わかりやすいのばっか読んでんな、オレ。とか反省しつつ村上春樹。
いや、反省する必要はないし、村上春樹が難解とも限らない。

難解だった。

でもおもしろかった。

いや、おもしろい、という表現は違うかな。
とにかくスルスル読めるし、情景は見えるし、だからその世界は
イメージしやすいんだけど、でも、何を意味するのかを理解するのが
難しいシーンが多い。

そこがいい。やっぱり春樹だ。
とか言っても、オレは、村上春樹が好きでも嫌いでもない。
だから全作品を読んでいるわけでもない。

でも、なんつーか「小説読んだー」って感じがするんだ。春樹作品読むと。
もちろん角川春樹ではない。村上だ。

とにかく、物語に引き込まれるんだ。
この小説も、なんかうまく表現できないけど「ある視点」がでてくるんだけど
なんか怖ぇーっつうか、「なんだよ、誰の視点なんだよ、おい」的な
それ、どんな「的」だよっつー話だけど、ま、引き込まれる。

なんか、春樹ファンの中でも賛否分かれているようだが、
ま、だから読んでみたんだが、分かれるのもわかる。
あらゆるシーンで何を意味しているのか考える必要があるからだ。
その解釈により、賛否は分かれるだろうな。

小説にスッキリした結末を望む人は、間違っても読んではいけない。
絶対「え、これで終わり?」ってなる(笑)

久しぶりに春樹いっとこーかな、とか思ったら是非オススメです。

今まで村上春樹読んだこと無い人は、これで初春樹したらいけません(笑)
たぶん、その後、春樹作品を手に取ることはなくなると思うから。

ま、別に、村上春樹読まなくたって、どーってことないけどね(笑)

                                             2008. 2. 26

1995年の
スモーク・オン・ザ
ウォーター

五十嵐 貴久(著)

2007 .10 発売
 小 説

平凡な家庭の主婦が主人公。
一人息子が中学浪人したり、旦那の仕事がちょっと上手くいかなかったり。
そんな、ちょっぴり息苦しい生活から抜け出したくて・・

40代の主婦仲間で青春時代を思い出しバンドを組んで
家族の支えもあったりなんかして。
1曲だけ人前でライブする、そんな、ま、ありがちなストーリーなんだけど。
(そうでもないか?)

なぜだろう、最後のライブのシーンで感動したんだ(笑)
一回失敗して、もう一回演リなおすときに
普段、まぁ、おとなしかった主人公のお母さんが

「失敗がなんだ、文句あるか!」的な(うろ覚え)ことを叫ぶんだ。

うーん、うまく伝えれないから、まぁ、読んでみて(笑)

オレ、こういう家族愛的な小説はあんまり読まないんだけど(笑)
これ、なんかネット上で知り合った人に、いや、知り合ったって程でもないんだけど
読書ブログ書いてる人に、いや、全然知らない人だったんだけど
たまたま読んだら、おもしろいブログだったんで
ちょっとコメントしたら、(自分はバンドのHPやってることを書いた)
バンド関連だったら、こんなのどうですかってオススメしてもらって
読んだんだよね。おもしろかった。

やっぱ、人との出会いは大切だよね。

                                             2008. 2. 11

チームバチスタの
栄光

海堂 尊(著)

2006 .1 発売
 小 説

やっぱり、あれだな、これ読んで思ったのは
ベストセラーになってんのは、ま、おもしれーんだなってことだ。
(ケータイ小説とかってやつは除く)

まぁ、難点を言えばシリアスなシーンとコミカルなシーンが
いまいち融合してないような気がしなくもない。

で、今、この映画やってるわけだが、だから
オレがこれ読んだときは、もう誰が誰っつーキャスト知ってたわけで
なんか違うんじゃねーかなーとか思いながら読んだわけだが、
例えば、主人公の田口って医者が原作では男性なのに
映画は竹内結子だ。

ま、そういったことは、よくあることだが、
この原作でそこ変えちゃうのはどうかなー、とか思いながら
映画も観てみました。

その感想はこちらです。



                                             2008. 2. 11

みなさん、
さようなら

久保寺 健彦(著)

2007 .11 発売
 小 説

どこにでもある団地に住む主人公。
小学校の卒業式の日に起きたある事件により
主人公はその団地の敷地から出られなくなって生活する。30歳まで。

いや、おもしろかったよ。おもしろかったからレコメンしてるわけだけど。

でもね、ホントならもっともっと大プッシュしてもいいところなんだけど
帯の推薦文がマズかったね。そのせいでポイント減って感じだ。
帯(帯裏)にはこう書かれていたんだ。

------------------------------------------------------------------------
 青春小説に革命が起きた!
 〜
 
村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』、村上春樹『ノルウェイの森』の如く、
 永遠に読み継がれる青春のバイブルとなり得る本当の輝きに満ちた大傑作
 の誕生に興奮を抑えられません。
 〜
 (途中抜粋)

------------------------------------------------------------------------

これを見たとき、おいおい随分とハードル上げたなもんだなオイ、と思ったよ。
どんだけすんげー小説なんだよ、って思いながら読んだこれは
やっぱり『コインロッカー・ベイビーズ』にも『ノルウェイの森』にも
並ぶことなく、っつうか足元にも及ばないってとこか。

いや、おもしろかったんだよ。
でも『コインロッカー・ベイビーズ』と『ノルウェイの森』を
引き合いにだしたらまずいだろ。期待しちゃうだろ。
ま、その時点で帯推薦文戦略にハマってるわけだが(笑)

この2作品は内容はもとより、その書かれた時代背景や
ま、うまく言えないが(笑)その他もろもろのことで抜くことはできないだろうよ。
いや、並ぶことだって容易じゃないはずだ。
この2作品は確実に後世に残る作品と思われるが
「みなさん、さようなら」はないだろ。うん、絶対ない。

でも、おもしれーから読んでみればいいよ。ホントかよ?って話だね(笑)
最初に書いたあらすじ見たら、なんだかおもしろそうでしょ。

だけど、なんだかな、好きな女の子にセックスはさせてもらえないんだけど
口とか手でイカせてもらうシーンあるんだけど、ま、『ノルウェイの森』の
あのシーンのエロさを超すことはできないな。
つうか、『ノルウェイの森』にエロを語るようじゃ小説語る資格ねーかな(笑)


                                             2008. 1. 22

犯人に告ぐ

雫井 脩介(著)

2004 .07 発売
 小 説

けっこう話題になってた小説だから、本屋で目にしたことある人も
多いと思う。オレも何度も手にとったことはあったんだけど、なんか買えなくて。

なんかさ、警察ものって読まず嫌いなんだよな。
横山秀夫とかさ。ま、読めばおもしろいんだろうけど
なんか読めねーんだよな。

で、今回、友人が貸してくれたんで読んでみた。
おもしれかった。この小説は映画化もされていて
主人公がトヨエツなわけなんだが、それ知ってたから
もう、トヨエツにしか思えなくて。はまり役だと思うよ。

映画も観てみたいな。
もう文庫化されていて、上下巻にわかれてんだけど
スルスル読めちゃうと思うよ。

なんか読むもんねーなー、でも、こ難しいのは読みたくねーなー
って感じの人にオススメです。


                                             2008. 1. 8

ゴールデン
スランバー

伊坂 幸太郎(著)

2007 .11.29 発売
 小 説

相当おもしれーよ、これ。
今年一発目のレコメンは伊坂幸太郎だ。
去年一発目も伊坂幸太郎だった。マズイな(笑)

最近、守備範囲が狭いぞ、オレ。

500ページあるが、一気に読める。中だるみなし。
伏線のはり方がハンパねー。

いつもの伊坂作品より普通な(読みやすいという意味で)感じなので
いままで伊坂作品に、いまいちはまれなかった人も
きっとおもしろいと思うよ。

だがしかし、なんつーのかな、登場人物の中に「ん?」って
感じてしまうやつがいるんだ。物語に絡んでくる必然性が
よくわからないっつーか。

いや、おもいっきりフィクションなストーリーだから
そこに必然性を問うのもどうかと思うが
なんつったって主人公が首相暗殺の濡れ衣を着せられちゃう
ストーリーなんだからさ、必然性もクソもねーんだけど。

「普通アカの他人がそこまですっか?」って思ったやつ
二人ほどいたもんだからさ(笑)

ま、でも、とにかく、おもしれーのは間違いないよ。
読み終わるのが嫌で嫌で(笑)

しばらく、どの本読んでもつまんねーだろーなーって
鬱になるくらいおもしろかった。
ま、鬱は言いすぎだけど(笑)


                                             2008. 1. 3