2010/3/31(水) 『世界は本気か』 |
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次の言葉はタブーなのだろうか。
「でも、それ、オリンピックじゃないよね?」
もちろん、これは、たとえば今年小学1年生になったばかりの
息子が、初めての運動会のかけっこで1等賞をとって
「お父さん、僕、1等賞とったよ!」と、喜び勇んで
お父さんに抱きついてきたときに、お父さんが言う言葉ではない。
「でも、それ、オリンピックじゃないよね?」
息子の努力は水の泡だ。いや、小学1年生は
なんでお父さんが喜んでくれないのか、その意味も
わからないかもしれない。しかし、なんだか悲しい気持ちに
なるだろう。
次のような時にも、この言葉は少々そぐわないだろう。
音大に通う娘が、海外の有名ピアノコンクールで金賞を
獲得して父親に報告する。
「パパ、私やったわよ、小さい頃のからの夢がかなったの」
普段温厚なパパが口にする。
「でも、それ、オリンピックじゃないんだろう?」
なんだろう、このオリンピック信仰は。
でもそうなんだ。オリンピックとはなにか特別なものなんだ。
4年に1回というスパンで行なわれる大会に
ピークをい持っていくのも大変だし、年齢などの
自分じゃどうにもならない「運」も関係してくるからかもしれない。
だから、オリンピックは特別なものなんだ。
そこで金メダルを獲ることは並大抵のことではない。
海外の選手も、そりゃあ、もう、本気で挑んでくる。
金メダルを獲ると、一生暮らしていけるだけの
報奨金を出す国もあると聞く。そりゃあ選手は本気になる。
小さい頃からスポーツをやっている者はみな
目標は「オリンピックで金メダル」と、半ば洗脳されたように
宣言する。
誰も「南部忠平記念陸上大会で金メダル」とは宣言しないんだ。
とにかくオリンピックだ。
しかし、例外もある。
数年前、サッカーで日本がブラジルを破ったときだ。
それは、ある意味歴史的なことだったかもしれないが
その時、こう言ってる人をよく見かけたものだ。
「でも、オリンピックだからな」
どうやら、サッカーの世界ではオリンピックよりも
ワールドカップ、という図式がなりたっているらしい。
「ブラジルはオリンピックでなんか本気だしてないよ」
というわけだ。
話はもどるが、誰か言ってやったほうがいいんじゃないか?
そう、高橋と浅田に。
わからないぞ、本人たちもそれほどうれしくないが
周りが盛り上げようとしているから、それに付き合って
いるだけかもしれない。
でも、記者会見で二人とも今までがんばってきた
ご褒美が金メダルだったとかいっている。
先日のフィギュアスケート世界選手権の話しだ。
ご存知だとは思うが、高橋大輔と浅田真央が
男女そろって金メダルを獲ったんだ。
高橋は今期世界最高点だとかで、先日のオリンピックの
金銀メダリストが出場していなくても立派な金メダルだ、
ってことにしているし、浅田真央もキムヨナをやぶって
金メダルだって騒いでいる。
ここで、誰か勇気をもって言ってみるべきではないか。
「でも、オリンピックじゃないよね?」
もっと、厳しく言ってもいいかもしれない。
「でも、オリンピックだめだったよね?」
みんなが思っていることだ。きっと。
しかし、それはやっぱりタブーなのだろうか。
でも、南部忠平記念陸で優勝したやつには
これくらい言ってもいいかもしれない。
「そんなタイムじゃ、オリンピックだったら予選落ちだよ」って。
最後に、少し不安になったのは、例えば先日の
バンクーバーオリンピックで、超マイナーな競技に
出場していた選手に、その選手がオリンピック後
出社してきたとき、同僚が言う。
「ところで、オリンピックどうだったの?」
「昨日買ったコロッケおいしかった?」くらいのトーンだ。
オリンピックは出るだけじゃダメなんだ。
結果を残さねば。そう思わせる事例ではないだろうか。
オレは、アジアの選手が上位を占めるようになってきた
フィギュアスケートが、なんだかつまらなくなってきた。
もう、柔道と同じだ。
フィギュアスケートは柔道だ。
こんな結論を導き出してみたがどうだろう。
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